【小説講座1-3】描写で間をもたせる、ついでに空間を立ちあげる術

「間をもたせる」描写、「空間がわかる」描写

【ことそこ!小説講座】もおかげさまで3回目。

アクセス数、SNSなどで

応援してくださるみなさま、

本当にありがとうございます。

さて「実践的」

徹底して行っていく【ことそこ!小説講座】。

第3回の今回は

「描写で〈間〉をもたせる」技術です。



「間」すなわち「時間の経過」

わたしたちのまわりには

さまざまなものが流れています。

時間、空気のよどみ、人の心、自然のうつろい――

世界は流動的ですが

その「流れ」がよどむときがあります。

それが「間(ま)」です。

――とか、抽象的なこと言っててもしょうがないので

さっさとワークショップに移りましょう。

たとえばこんな文章

「そりゃそうだけどさ」

哲夫は言いよどんで、口をつぐむ。三十秒ほどもたっぷり沈黙があったのち、悦子が口をひらいた。

「粉塵地帯を抜けなきゃならない、そうでしょ?」

しつこくしつこくしつっこく、言いますが

小説家の特殊技能は

〈空間を立ちあがらせること〉にかかっています。

空間とは

季節は?時代は?場所は?

・主人公たちはどんな世界に生きて呼吸している?

・どんな心境でいる?

五感でなにを感じている

・その世界はいったいどんな景色?

こういうことです。

これらすべて、可能なことです。

だって過去の作家たちはやってるもん。

で、

今回の問題は

例文の赤字で示した「三十秒」。

ここを利用して

いくらでも世界を立ちあがらせることはできます。

こんなふうにしてみた

「そりゃそうだけどさ」

哲夫は言いよどんで、口をつぐむ。

四人は排気口からわいてくる黒いガスの中、ガスマスク越しにおたがいの顔色をうかがう。

金網の向こうにはこの凶悪な煙の源、マッカランの工場がある。その下に広がる灰色の町は、今しがた抜け出してきた地獄だ。

それをしばらく全員でながめた。

悦子が口をひらく。

「粉塵地帯を抜けなきゃいけない、そうでしょ?」

いかがでしょう?

赤アンダーラインで示したのが、

世界を立ちあがらせるために増やした「描写」です。

この描写でジャンルまでわかるようになりました。

また、主人公たちが生きている

世界の空気がわかってきたかと思います。

書いているあなたの内側では

頭のなかに世界が立ちあがっているはずです。

それを、あなたが伝えたいだれかに伝えるという

尊い役割

描写がになっているのです。

ここまで言葉を尽くせば

描写がどれだけ尊いか、わかってきたかと思います。

んで、次回からは、

描写力を鍛えるワークショップですよ!

例のあのひとの例外について

ロシアの大文豪・ドストエフスキーなんかは

「たっぷり二分も沈黙が続いた」などの文章があります。

これって、どうなん?と言われるかと思います、が。

ドストエフスキー作品を

一読した方ならおわかりかと思うのですが

一貫して、たたみかける饒舌な

非常に独特な文章(ロシアの評論家いわく「悪文」)。

ストーリーとしては

死体とロマンスを転がしてそれっぽくしたのちに

何ページも改行ナシで

なぜか神や共産主義について語りまくるそれがドストエフスキー。

ドスやんは怒涛の会話文の達人なので

あえてこういう技を使って

冗長さを避けているものかと思います。

実にロシア的ですね!

これはスタイルとして

作品にもっとも適しているから成立することなので

OKなやつです。

なお言ってしまうと

大文豪ドストエフスキーですが

「小説」としての出来は結構不出来なものが多いです^^;

ちなみに作者はドストエフスキー大好き。銃殺です!

ってことで、

今回もお読み頂きありがとうございました!

次回をおたのしみに!

ではまたネットの海で。

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