【小説講座1-2】描写で季節感と情緒を出す【冒頭編】

【描写で】季節感と情緒を出す【冒頭編】

前回の記事に続きまして

今回も【描写】について。

大切なことなのでしつこく言いますが

小説の文章の役目というのは

「世界を立ちあがらせること」です。

そのための職人技が、【描写】

描写の役割は、

・いま、ここがどこ

季節はいつか

どんな状況に人物たちは置かれているのか

のほかにも、

作品世界に読者を呑みこむ、つまり――

文章をつうじて

作品世界に感覚のすべてを支配されるという

読書の至福を左右するのも描写の作用です。

この「描写」が一番ためされるのが、冒頭。

ということで!

今回は「描写で季節と情緒を出す!冒頭編」

まいります~。



冒頭における描写の役割

たとえば、こんな冒頭。

わたしはリサ。ここは日本。季節は秋で、紅葉がきれい。いま原宿のスクランブル交差点にいる。

ここまで説明的だといっそ清々しいですが

これだとあきらかに「設定集」

(このスタイルのまま延々とストーリーテリングするのも、アリといえばアリだけれども

 それをハイクオリティにおもしろくするためには相当修練積まなきゃいけない。

 よいこの作家はしばらく真似しちゃダメ)

これを「小説」にするには、どうすればいいでしょう?

筆者はこうやってみた。

 英国ヒースロー空港を発つときに通りで散りかけていた紅葉は、この日本では木々のこずえに燃えるように盛りだった。ただ、東京の中心部まで行くとその草木も少なくなる。

原宿のスクランブル交差点は巨大なビルの盆地のようで、リサはそのど真ん中でさむい空をあおいだ。灰色のくもり空だけれど、ロンドンよりもずっと明るい。

たったこれだけの手間で

主人公の息遣い

主人公の出身や国籍

・場所の立体感

・空気や風のにおい

・色の感じ

これをぜんぶあらわしています。

ここまで来るとおわかりかと思いますが

むしろ説明文だけで作品内の情報を伝えようとすると

損をすることが多いのです。

それは作品の流れであり

作品の持つリズム・鼓動・呼吸であり

なによりも読者に、

「この作者、なまけてるな」

「この作者の文章、大したことないな」

ひいては、

「この作品、読む価値なさそうだな」

と思わせてしまう致命的なエラー

やらかすことになる。

描写をちょっと上手くこなすことで

一気に「小説」っぽくなり

事実「小説」としてのレベルが上がります。

冒頭で読者をつかむために

描写をちょっとでも、入れる。

そして一気に世界を立ちあげる。

これは小説をがんばって書く人間にしかできない

特殊技能です。

と、いうところで次回へ続きます。

次回は【「間をもたせる」ための描写】について。

ではまたネットの海で、お会いしましょう。

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